国際電車落書き団、列島縦断13件 「有名になりたい」

2008年11月14日 朝日新聞

f0013182_18291049.jpg

f0013182_18295216.jpg 大阪府内で9月以降、電車への落書きが相次いだ事件で、器物損壊罪などで起訴されたスロバキア国籍のダリボラ・スピシアク(26)とハンガリー国籍のタカチ・ビクター(26)の両被告が、起訴された2件を含め、国内で計13件の落書きをしたと述べていることが府警への取材でわかった。同様の被害は全国でも起きており、府警は裏づけが取れた数件について追送検する方針。

 捜査関係者によると、両被告は「世界各国で落書きを繰り返した」「日本の電車には落書きがなく、目立つと思った。日本人にアピールし、有名になりたかった」とも供述しているという。府警は日本を狙った「国際落書き団」の一つとみて調べている。

 起訴状などによると、両被告は9月4日未明と同日深夜、大阪市営地下鉄の新大阪駅構内(大阪市淀川区)と、同市営地下鉄の八尾車庫(大阪府八尾市)で電車に落書きしたとされる。描かれた変形文字の「SERC」や「RCLSPK」は、肉が焼ける「ジュー」という音のハンガリー語とチーム名という。

 両被告は10月10日、別の外国籍の男=逃走中=と一緒に大阪市西成区の簡易宿舎にいるところを発見された。部屋からはスプレー缶約30本と落書きを特集した外国雑誌、ビデオカメラ、デジタルカメラが押収された。ビデオには、金閣寺など全国の名所を観光する様子が映っていたという。

 捜査関係者によると、両被告は9月2日、観光目的の名目で関西空港から入国。東京や京阪神、広島、福岡などを行き来しながら落書きの様子をビデオに撮り、国際郵便で母国に送っていた。「DVDにして売るつもりだった」と述べているという。

 スピシアク被告は、母国で画家の卵として活動。タカチ被告は大学生だった。逃走中の1人も東欧の男で、「ヒップホップパーティーなどで知り合った」と供述。これまでロシアや英国、チェコ、ポーランドなどを巡り、落書きを重ねていたという。(太田泉生、池尻和生)

    ◇

 スピシアク被告らが描いたとされる落書きは、ニューヨークから80年代に世界に広がったストリートアートの一種「グラフィティ」と呼ばれ、「クルー」と言われる集団で描かれることが多い。

 武蔵工業大学の小林茂雄准教授(環境心理学)によると、ニューヨークやロンドンでは数百のクルーがあると言われる。クルーの一部は各国を渡り歩く「国際落書き団」になっているという。

 日本への出入りはこれまでにも確認されており、今年6月、成田空港に着いた豪州人男性4人のクルーを東京入国管理局が上陸禁止にする事態もあった。4人は入管に対し「日本は警備が緩く、やりやすい」と話したという。

 クルーは国内にも100組前後あると言われている。大阪市では07年ごろ、ミナミのアメリカ村などで「SANTA」と描く落書きが100件以上確認された。うち11件について、今年6月、住所不定の無職の男(25)が有罪判決を受けた。「気分が晴れるから」などと述べたという。

 判決などによると、男は中学時代、雑誌などでグラフィティを知り、18歳の頃から深夜や早朝に落書きするようになった。06年ごろからは中学時代の後輩(22)=有罪判決=らも加わったとされる。

 一方、被害を受けたアメリカ村では住民らが週2回街を見回り、見つけた落書きをすべて消している。西心斎橋商店街事業協同組合の川崎雄司理事長(62)は「落書きがあると、この街はなにをやってもええとこやという感覚が芽生え、治安の悪化を招く」と話している。
[PR]

by deracine69 | 2008-11-14 23:59 | 社会  

<< ソマリア海賊の犯行急増 元は漁... 朝日新聞記者ら銃撃され負傷 パ... >>