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朝昇龍、安倍晋三の道理

有限会社シナジープランニング 代表取締役 坂口 昌章
2007年9月13日 10:06 INSIGHT NOW!

安倍総理大臣辞任のニュースを聞いて、なぜか朝昇龍のイメージと重なった。両者に共通する課題とは何か。

 朝昇龍は一人横綱として相撲界を一身に背負ってきた。相撲協会を含めた相撲業界が朝昇龍に依存してきたのは事実だろう。元々、朝昇龍にはいろいろな問題があった。しかし、短所には目をつむり、長所を評価していたのだ。

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by deracine69 | 2007-09-13 12:47  

安倍首相、朝青龍の悪しき共通点は、「ヨコ並び思想」だ!

2007年08月13日09時50分 PJニュース

 【PJ 2007年08月13日】- 参院選惨敗の結果に「反省すべき点は反省する」と繰り返す安倍晋三首相。選挙直後の自民党議員総会で多数の幹部から退陣を迫られ、反論の一言も出ないテイタラク。6日発表の世論調査によれば、大敗後の内閣支持率は22%と過去最低。上がったのは不支持率65%、参院選直前より12ポイント上昇したと毎日新聞は伝えている。

 言うまでもないが、内閣総理大臣とは国家の政治的指導者、自衛隊三軍の総司令官でもある。内閣は「少年官邸団」と揶揄(やゆ)され、場の空気が読めない首相を、「KY総理」と呼ばれる始末。首相を補佐するという名目の補佐官は、実務内容はまったく不明。組織論的には、「屋上屋」で閣僚との摩擦が目立つだけ。リーダーシップを発揮できない総理に、国家の安全を任せて大丈夫かと案じる声が出て当然だ。 

 片や、「ヒジ、腰の怪我(けが)」を理由に大相撲協会の公式行事の地方巡業を欠席したのが横綱朝青龍。故国モンゴルで治療専念と思いきや、元気にサッカーにうち興じていうからとんだ醜態。帰国すれば、協会をはじめ内外の大批判の声に、「精神的障害」を理由に自宅に引きこもり、実情も明かさぬまま、高砂親方が愚痴っぽい記者会見に臨むだけ。相撲の世界は俗に、「ムリ偏にゲンコツ」と称せられる典型的な「タテ型社会」。親方や先輩力士の尊厳は偉大であったはずだが、ナニを間違ったか朝青龍、伝統を誇る相撲界の権威を自ら失墜。元大関の小錦にまで、「あれは単なるなるワガママ。ボクは現役時代、どんなにつらくてもハワイに帰らなかった」とバカにされる始末。

 超有名人のこのお二人、ドチラも「ヨコ並び思想」に凝り固まっているようだ。だが、敵失に喜ぶ小沢民主党。前代表前原誠司氏を辞職に追いやったのは、同党議員永田寿康氏の「送金指示」メール問題だったし、時の幹事長もまた、お坊ちゃま政治家鳩山由紀夫氏。ばんそこう大臣こと赤城徳彦氏を擁護し続けた安倍首相の、「仲良しクラブ」とまったくの同類項。目くそ鼻くそを笑うとはこのことだ。

 ドイツの社会学者テンニースは、地縁、血縁などによる自然発生的な社会集団を「ゲマインシャフト」(Gemeinschaft)とし、一方「機械的組織体」を「ゲゼルシャフト」(Gesellschaft)と呼んだ。火中のわが子を救う母親は、「ゲマインシャフト」の住民であり、「泣いて馬謖(ばしょく)を斬った」中国の名政治家・諸葛は「ゲゼルシャフト」に生きた英雄なのであった。立場、立場で語られる言葉も日々の行いも、みな同一では困るということだ。

 あらゆる組織はピラミッド型に構築され、運用されている。トップに立つ人間は、最高の名誉と尊敬を得られるが、その地位に相応(ふさわ)しい立ち居振る舞いを求められるのが世の常。日本には「立場は人を変える」との格言があり、欧米では古くから「ノブレスオブリュージュ」として、「気高きものの義務」あるいは、「正しき者は強くあれ」を要求してきたものだ。つまりは安倍首相も、相撲界の頂点に立つ朝青龍ご両人に見え隠れするのは、単なる甘えの構造、「横並びお友達社会」の住人でしかないことを指摘したい。

 昨今わが国に横溢(おういつ)している恐怖の「ヨコ型発想」。安倍内閣の組閣の失敗と、その後打ち続く閣僚の不始末は、まさに「友人をかばうあまり」自民党という巨大組織を崩壊させたのだ。同様、朝青龍の指揮官であるべきはずの高砂親方の、「大アマ指導」が、素直なモンゴル力士を増長させたと指摘する声が高い。親方が、「不始末をしでかした弟子の自宅に日参し、説得する」など茶番でしかない。日本相撲協会北の湖理事長の指導力不足を主因とする意見もあり、ドチラを向いても日本全国「責任者不在」が悲しき実情。

 出処進退を明らかにできない総理大臣も、診断書の陰でうごめく横綱にも、地位に値する畏敬(いけい)の念はとうに消えうせた。総裁選の論功行賞という「ヨコ型発想」で内閣を誕生させては国民は困るのである。だだっ子横綱朝青龍は、ごちゃごちゃ言わず、「スミマセン」と一言言えば済むことなのだ。蛇足ながら、アベにアソウにアカギにアサ青龍。ついでに高砂親方ことアサ潮さん…。「ア」の字のつく人はみな大アマであきへん。そろそろ「ヨコ型発想」からの離脱が、必要な時期のようですがねー。【了】
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by deracine69 | 2007-08-13 09:50 | 政治  

権力の重さと怖さ 週のはじめに考える

2007年8月12日 中日新聞

 参院選で権力者としての重い責任を問われた安倍晋三首相は、権力の怖さを発揮することでそれに応えました。その最終判定は最高権力者である国民の責任です。

 安倍首相は参院選の最中も「美しい国」について抽象的な説明に終始しました。改憲を企図し果たせなかった祖父・岸信介元首相と自分を重ね合わせた発言はあっても、体系的な政治思想や理念が語られることはありませんでした。

 それは、「美しい国」の形をどうするかについて、自分に白紙委任を求めたようなものです。

 しかし、一九三三年、「全権委任法」をヒトラーに与えたドイツのような過ちを、日本の有権者は犯しませんでした。

意欲だけが先走る政権

 この法律によりナチスは、当時、最も民主的といわれたワイマール憲法を棚上げし、ファシズムの道を突っ走ったのでした。

 作家の堺屋太一さんは安倍内閣を「知識と能力に欠ける」と断じ、「政治家の知識と能力が欠け、意欲だけが先走るのは一番困った現象」(「文芸春秋」八月号)と嘆きました。選挙結果は同じ思いの人々の多さを示しているようにみえます。

 国会運営や、閣僚の失言、「政治とカネ」、年金など噴出した問題への対応で、国民は予測される「美しい国」の姿に気づいてしまいました。

 他の政治家や末端の公務員を悪者にして自分は逃れようとする無責任さ、民意を汲(く)み取れず対応が後手後手に回る無能ぶり、「私の内閣」や「首相指示」を乱発する権力意識の強さ…権力者の責任の重さ、それ故に求められる謙虚さを首相が自覚しているとは思えません。

 目立つのは祖父に学んだかのような強引さです。選挙前の国会で相次いだ採決強行は、岸政権末期の一九六〇年、警官隊を導入して新しい日米安保条約の批准承認採決を強行した混乱に似ていました。

想起させる「声なき声」

 選挙に惨敗しても「基本線は国民に理解されている」と強弁して政権に居座る姿も、数十万人のデモ隊に国会を包囲されながら「声なき声は自分を支持している」と言い放った岸元首相を想起させます。

 大衆はナショナリズムの鼓吹で一時的な熱狂を見せても、本質を見破る目は持っています。

 拉致問題に関する安倍首相の「毅然(きぜん)たる姿勢」で北朝鮮に対する優越感にしばし浸った人たちも、「戦後レジーム(体制)からの脱却」に危うさを感じるまでにそう時間はかからなかったのではないでしょうか。

 日本は歴史上、少なくとも二度の大きな脱却を経験してきました。

 明治維新は封建体制の国家から資本主義の近代国家に転換する脱却でした。それから八十年近く後、近隣諸国民と同胞に大きな犠牲を強いたすえに戦争に敗れた結果として、軍国主義を脱し民主国家として新生することができました。

 いずれも、負の遺産を清算し過去を克服するために、それまでの体制と断絶したのです。未来を切り開くための、前を向いた変革でした。そうしてできたのが「戦後レジーム」であり、日本国憲法です。

 日本の政治家なら、まずこの歴史認識からスタートしなければなりません。ところが、安倍首相が三度目の脱却として目指す「美しい国」には戦前回帰のニオイがします。

 かつてと同じ愛国心押しつけになりかねない新教育基本法、「昔はよかった」式の議論で教育勅語の世界に戻そうとしているのではとさえ思わせる教育再生会議、新憲法制定…国民が求めているものとの間には大きな隔たりがあります。

 十九世紀の資本主義をほうふつさせる格差拡大容認の政策は、富の分配に配慮しながら全体を底上げしてきた戦後日本の思想とは異質です。挑戦する機会さえ与えられず格差の淵(ふち)に沈んだ若者の目には、再チャレンジ政策が言葉遊びと映ります。

 おまけに支持率が極端に下がってからの首相のあたふたぶりは、統治能力の欠如を露呈しました。

 表面的には「政治とカネ」、年金問題ですが、根本的には歴史と現実に対する安倍首相の認識と統治能力が問われたといえましょう。

 それでも政権を手放さないのは権力の怖さを物語ります。同時に、有権者が情緒や感性で政治的選択をすることの危険性も示しています。

 近代日本を築いた指導者たちは、青い空に輝く雲を目指して坂を上りました。彼らには歴史の進歩への信頼と重い責任の自覚がありました。

 いまは青空も光り輝く雲も容易には見えない時代ですが、坂道は逆戻りするのではなく、進歩を信じて上り続けたいものです。

不安や怒りを持続し

 そのためには未来を政治家に一任するわけにはゆきません。

 それだけに今度の参院選を一時の“祭り”や“禊(みそ)ぎ”に終わらせてはなりません。不安や怒りを持続しながら政治家と政治を厳しく監視し、コントロールしてゆくのは最終権力者である有権者の責任です。
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by deracine69 | 2007-08-12 08:00 | 政治  

日ロ為政者の身の処し方

2007年8月8日 東京新聞

 ロシアは来年三月の大統領選挙に向け、政治の季節に入った。大統領任期は二期八年までという憲法の規定により、プーチン大統領も退陣する運びになっている。

 それでもプーチン支持派には、改憲して連続三期まで認めようという意見が根強くある。議会は事実上のプーチン翼賛体制。その気になれば改憲は可能だ。

 改憲を口にする人たちには、国民もさして抵抗はすまい、という読みがある。実際、ある世論調査では、もしプーチン氏が三選出馬できるのなら、同氏に投票すると答えた人が約三分の二に上った。

 同じ旧ソ連圏である中央アジア・カザフスタンの議会はこの五月、現職のナザルバエフ大統領に限って三選禁止規定を除外し、終身大統領への道を開く憲法改正をした。

 ここまでくると、民主国家とはいえまい。ロシアも似たようなことをすれば、欧米から白い目で見られるだろう。ロシアの知識人層にも「中央アジア諸国と同じになるのか」と否定的な空気がある。

 プーチン氏自身、三選の可能性を否定している。民主化を大きく後退させた同氏だが、さすがに最後の一線を踏み越えるつもりはないようだ。

 ただ、まだ五十四歳。引退するには若い。そこで、次期大統領職は自分の息のかかった者に継承させるが、一期だけで身を引かせ、その次はプーチン氏が再登板する-という奇策がまことしやかに取りざたされている。

 プーチン氏とは逆に、支持率下落にあえぐ安倍晋三首相は、参院選で惨敗しても続投した。「美しい国」を説くこの為政者の美学とは、なんなのだろうか。 (青木 睦)
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by deracine69 | 2007-08-08 08:00 | 政治  

小泉、一年間の沈黙の先に

政界再編のキーマンは9月に動き出す
2007年8月6日 NB online

 「小泉さん、もう1回総理やって」

 7月21日、名古屋市の県勤労会館で、前首相の小泉純一郎が参院選の応援演説をしている最中のこと。突然、会場に女性の声が響きわたった。

 それまでは会場からの声を上手に受け取めながら話を進めていた小泉の演説が、その一言で途切れた。

 「私はもう総理やめたから。総理大臣は安倍さん。もう時間? 次へ行かないといけないし…」

 小泉はあわてて話題をイラク派遣から切り替えた。参院選で全国行脚しながら、余裕に満ちた演説を重ねていた小泉が、ひるんだ一瞬だった。「次に行かないと」と言いながらも、それから10分近く演説は続いた。

「やらない。もう、やらない」

 参院選を戦った自民党総裁の安倍晋三と、民主党代表の小沢一郎。明暗を分けた2人に共通するのは、ここまで見てきたように小泉シンドロームの影が選挙を通じてつきまとったことだ。

 選挙を、そして政治の進め方を一変させた小泉。その張本人は昨年9月に首相を退いてから、選挙の応援を除けば一切公衆の前に姿を見せず、沈黙を守ってきた。

 小泉の応援演説は街頭を避け、定員が決まっている会場に限定された。首相の安倍より聴衆を集めたのでは、現職がかすんでしまう。そんな配慮があってのことだった。愛知県を地盤とする衆院議員の見立てでは、「名古屋駅前で街頭演説をやったら小泉さんなら1万人、安倍さんでは5000人」。今回の参院選で応援にかけつけた10カ所余りの会場では立ち見が続出し、それでも入りきれない支持者たちはテレビモニターを置いた別会場へと移動した。

 テーマソングであるX- JAPANの楽曲とともに姿を見せるや会場は沸き立つ。演説終了後は会場の出口に熱烈な支持者が群がり、まるで芸能人のように携帯電話のカメラと歓声が向けられる。

 自民党の敗北について、小泉が進めた構造改革の痛みに地方からの反発が強まった結果という見方もある。後継者となった安倍の敗北に、小泉の責任を問う声も聞かれる。それでも小泉が応援にかけつけた選挙区の候補者12人のうち当選は7人、半分以上の候補者たちが笑った。自民惨敗という状況の中では、依然として小泉は選挙に強い政治家と言える実績だ。

 小泉再登板――。

 安倍が続投を宣言し、自民党を挙げて支えることになった参院選直後には、現実味の乏しい話に聞こえるかもしれない。ただ、いずれ衆院解散、総選挙となり、選挙に勝てるリーダーは誰かが問われた場合、話は別だ。

 もちろん、首相当時の組閣で事前に一切の情報が漏れず、サプライズ人事を披露した小泉が、この段階で再登板をにおわすはずもない。

投票日直前、「民主党は割れる」

 この春、小泉は休暇を楽しむため伊豆・修善寺を訪れている。同行したメンバーは元郵政大臣の野田聖子、作家の林真理子、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)社長の増田宗昭ザ・アール社長の奥谷礼子。「不機嫌の会」という、林の小説から名づけられた会の参加者である。

 メンバーの1人が小泉に尋ねた。

 「もう一度、小泉内閣、やらないんですか」

 小泉の返事は素っ気なかった。

 「やらない。もう、やらない」

 やり取りを聞いていた参加者の1人はこう感じたという。

 「赤穂浪士も切腹したから歴史に残った。のこのこ生きてたら歴史は忘れ去る。小泉さんの美学から言って、再び自分から打って出るようなことはあり得ない」

 一方で、全く逆のことも感じていた。

 「政界再編の後に、自民党総裁ではない形なら考え得るかも…」

 政界再編。小泉の視野には、そんな可能性も入っている。小泉にごく近い関係者は、小泉自身が参院選の投開票日の直前に語った一言が耳から離れない。

 「今度の参院選で、民主党は勝っても負けても割れますよ」

 ワンフレーズだけで、小泉からそれ以上の説明はなかった。民主党の分裂がどういう形で起きるのか、なぜ起きるのかについては分からない。しかし、永田町に吹く政治の風を読む能力に小泉が長けていることを知る身としては、無視できない一言と思えてならないのだという。

 民主党が割れる――。その人物が小泉から、この言葉を聞くのは2回目だった。

 前回は2001年4月のことである。小泉は自民党総裁選で3度目の挑戦に賭けていた。事前の形勢は元首相、橋本龍太郎が有利だった。旧森派(現町村派)が事務所を構えていた東京・赤坂プリンスホテルの旧館玄関からクルマに乗り込む際、小泉からこう耳打ちされた。

 「総裁選で私が負けたら、民主党が割れますよ」

 総裁選は小泉の勝利に終わった。だから、その言葉の真偽は今も分からない。ただ、「小泉が総裁選に出た時、民主党の一部と政界再編を仕掛ける手はずが整っていた」という話は永田町でまことしやかに語り継がれている。

 沈黙を守ってきた小泉。政界再編のキーマンとして動く日は来るのか。

 「次男の(小泉)進次郎さんが、父親の地盤を継いで国政に出るでしょうから、それを見守って、私も引こうと思っている」

 地元、横須賀の有力支援者からは、こんな話が聞かれるようになった。現在、小泉65歳。政治家としての終盤戦に入っている。

 小泉の場合、いつまでも国会議員にとどまりづらい事情がある。首相だった時、元首相の中曽根康弘と宮澤喜一に高齢を理由に引退勧告したからだ。小泉に残された時間は、そう長くない。動き始める日は9月末にやってくる。

 「9月26日を迎えるまで小泉さんは表立った動きはしない。それが不文律」

 小泉に近い人物は、こう解説する。昨年のこの日、小泉は首相の座から離れた。首相時代の様々な対立を和らげるためにも、1年間は波風を立てないのが得策との考えが働いているようだ。例外が、与党候補者に対する選挙応援だった。「静かにしているから余計にミステリアスで、存在感も衰えない」(自民党議員)といった副次的効果も生まれた。

 秋の臨時国会は、まるで小泉再始動を待つようなタイミングで召集される見通しになっている。参院惨敗の影響で、にっちもさっちもいかない国会運営が、辞任を固辞する安倍を追い詰めるとの見方がある。その時、政局は大きく揺れる。

 戦後政治史に田中角栄以来のイノベーションをもたらした小泉。果たして、乱世に政界再編へと動くのだろうか。

 日経ビジネス 2007年8月6日・13日号12ページより
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by deracine69 | 2007-08-06 06:00 | 政治  

「戦後」は継承したい 週のはじめに考える

2007年8月5日 中日新聞

 「自民惨敗」からさまざまな民意がくみ取れます。安倍晋三首相の政権運営の稚拙さだけでなく、公約である「戦後レジームからの脱却」への危惧(きぐ)もあったのでは。

 「美しい国へ」と国民生活をめぐる厳しい現実との大きい落差-。

 安倍首相率いる自民党は、この深いはざまに落ち込んで、歴史的な惨敗を喫しました。

 「こんなはずではなかった」。激しい選挙から一週間、安倍首相のぼやきが聞こえてきそうです。

 昨年九月の首相就任後初めての全国規模の国政選挙でした。「美しい国」を目指し、「戦後レジームからの脱却」を果敢に進めて、任期中に憲法改正を実現する…。

首相の未熟さを露呈

 自らの高邁(こうまい)な公約を高々と掲げて国民の信任を受ける。こんな選挙戦を描いていたはずです。

 ところが、国民が「小泉・安倍改革」の副作用である所得格差、地方格差に苦しんでいるところへ、でたらめな年金の扱い、閣僚の失言や事務所経費ごまかしの「逆風三点セット」です。

 首相は選挙直前になって対策を連発しましたが、その慌てぶりや側近をかばう姿勢が国民の不信をあおり、自民惨敗を招いたのです。

 選挙後の赤城徳彦農相の更迭も含め相次ぐ不祥事に、安倍首相の「未熟さ」、特に人事の稚拙さ、危機管理のまずさが露呈してしまいました。閣僚一回の経験不足、政策や見識の軽さなどのためです。

 「政府や政治に向けられた不信すら一掃できないようでは、新しい国づくりなんてできないぞ」(内閣メールマガジン)。首相は国民の声をこう解釈しました。

 「大事の前の小事」。目前の「小事」の処理すらうまくできない首相に「新しい国づくり」はしてほしくない。国を誤る恐れすらある。これが民意ではないでしょうか。

「基本路線」への危惧も

 にもかかわらず、首相は「私たちが進めてきた基本路線は理解いただいた」と言いますが、強弁です。

 むしろ「基本路線」に危惧を抱いた有権者の方が多かったのではないか。そうでなければこれほどの惨敗は説明がつきません。

 例えば「戦後レジームからの脱却」…。レジームは一般に政治制度や体制のことです。共産主義体制、独裁体制などと使います。

 日本の戦後レジームは、六十年余で定着した現憲法の基本理念である主権在民、人権尊重、非戦主義に基づく民主主義体制です。

 ここからの「脱却」とはどういう意味なのか。就任当初この言葉を耳にしたとき、まさか戦前の体制に回帰するのではと驚きました。

 その柱になるのが憲法改正です。「占領時代に素人のGHQ(連合国軍総司令部)がいまの憲法をつくった」(安倍首相)からです。

 あまりに短絡的です。GHQ案が基になったのは確かですが、日本人学者らによる「憲法研究会」などの案がかなり採り入れられました。戦争放棄の九条は、当時の幣原喜重郎首相の提案とも言われています。

 当時の為政者は「ポツダム宣言」で敗戦を受け入れ、時に忍び難きを忍んで、この国を存続させました。

 国会での密度の濃い審議を経て、現憲法を成立させ、豊かで平和な六十年余を実現したのです。

 「戦後レジーム」には、数百万人の生命の犠牲、汗と涙が詰まっています。大黒柱である憲法も含め、簡単に切り捨ててほしくありません。歴史に対する謙虚さが必要です。

 安倍首相は参院選で実績として、教育基本法改定、防衛省昇格、憲法国民投票法成立などを挙げました。集団的自衛権行使のために有識者懇談会も発足させました。

 一連の動きには国権強化、国家によるさまざまな分野への関与強化への志向が見られます。

 首相は「現憲法の基本原則は尊重する」と言いますが、なし崩しにされるのではないか。憲法は米国の押しつけと言いながら、米国が望むように協力して武力行使ができる憲法に変えるのではないか。

 「戦後レジームからの脱却」には危うさが透けて見えます。

 また、旗印の「美しい国」は首相以外の自民候補はほとんどが口にしませんでした。有権者の反発を受けるとみてのことです。いわゆる「基本路線」は有権者に呼び掛けられないままでした。

人心一新の民意に鈍感

 「国民の怒りや不信を厳粛に受け止める」「人心を一新せよというのが国民の声だと思う」

 安倍首相は、神妙な面持ちで反省の弁を繰り返しています。しかし、その結論が「続投」では何をかいわんやです。簡単に戦後を切り捨て「美しい国」を目指すという言葉の軽さ、そして民意への鈍感さがここにも表れています。

 「戦後レジーム」は、改革すべきを改革するのは当然ですが、これからも誇りを持って「継承・発展」すべき私たちの財産です。

 戦後日本が出発した八月十五日を前にあらためて思います。
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by deracine69 | 2007-08-05 23:59 | 政治  

【週末に読む】選挙とメディア

8月4日16時25分配信 産経新聞

 ジンクスは、やはり生きていた。12年に1度の「亥年」選挙イヤーには「大変」が起きるといわれる。現職大臣の自殺にはじまる不気味な予兆は、現実となった。

 「安倍政権、墜落す!」

 参院選の公示前に発売されたオピニオン誌『諸君!』8月号(文藝春秋)には、すでにこんな見出しが躍っていた。特集の座談会で、ジャーナリストの田勢康弘は語った。

 「45議席がボーダーラインかな」

 結果は、その予想をはるかに超えた。開票速報のテレビ番組で、コメンテーターをつとめた田勢の茫然とした表情が、印象的であった。

 私たちは、今回の参院選と2年前の衆院選を比較したくなる。小泉自民党の勝利。安倍自民党の敗北。ともに「歴史的」と呼ぶことができる。

 小泉選挙は、メディアと政治の関係に課題を残した。民放テレビ局報道局長の金平茂紀は、新著『テレビニュースは終わらない』(集英社新書)で明快に指摘した。

 「あの選挙報道で、メディア側は争点の設定に失敗したのではないか」

 つまり、政権側は郵政民営化だけに争点をしぼった。メディアはその思惑にまんまと乗せられ、翻弄された。選挙戦では、野党だけでなく、メディアも敗北したのである。

 その苦い“敗戦”について、放送ジャーナリストの鈴木哲夫は重く受けとめる。新著『政党が操る選挙報道』(同)に自戒をこめた。

 「権力の世論誘導に加担するなら、テレビジャーナリズムは死んだも同然だ」

 鈴木がとくに注目するのは、政党によるコミュニケーション戦略の実態である。郵政選挙では、話題を呼ぶ新人候補のセリフひとつまで戦略本部で指示していた。

 もちろん、どの政党もメディア戦略には取り組んでいる。自民党と野党の戦略は、どこに差があったのか。ここで鈴木の分析は説得力がある。

 「それは、危機管理の差であった」

 選挙戦にすこしでも不利な情報があれば、すばやく対策の手を打った。こうした危機管理の徹底こそ、じつは最大の勝因であった。


 なんと皮肉なことだろう。今回の自民党は、前回の教訓をすっかり忘れたかのように、つぎつぎと危機管理のほころびをみせた。“逆風”は、そのツケであろう。

 いまや政治におけるメディアの重要性は、劇的に高まった。蒲島郁夫・竹下俊郎・芹川洋一による共著『メディアと政治』(有斐閣)は、その現状を分析した。

 メディアが変われば、政治も変わる。現代の娯楽化したメディアを最大限に利用したのが、小泉政権であったことは、いうまでもない。

 「政治とメディアの間は“支配”ではなく“誘惑”の関係となった」

 政治権力による“介入”に対して、これまでメディア側は神経をとがらせて警戒してきた。思いがけない“誘惑”には、意外に弱かったといえるかもしれない。

 「民主主義という大芝居には、政治家という役者と国民という見物人が要る」

 劇場型政治という言葉もない時代に、こう喝破したのは小林秀雄であった。『全作品集 第21巻』(新潮社)によると、その文章には続きがある。

 「政治家は、見物のこわさを知る名優でなければならない」

 名優の条件は、いまも変わりはしない。(山田愼二)
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by deracine69 | 2007-08-04 16:25 | 政治  

【安倍敗北 米国流解釈】「政権崩壊」推測は早計

8月3日8時1分配信 産経新聞

 【ワシントン=古森義久】「安倍晋三首相が参院選の結果、『戦後レジームからの脱却』という基本政策の推進をやめろ、という圧力に屈しないことを強く望む。むしろ逆に、より強固に推進すべきだろう。有権者はこの政策への反対を表明したわけではないし、その政策こそ対米同盟の強化や日本の国際社会への貢献拡大につながるからだ」

 米国のバンダービルト大学教授で元国防総省日本部長のジム・アワー氏は、今回の選挙の争点が年金問題や閣僚の失態、醜聞という国民の皮膚感覚を触発する領域に集中したことを指摘して、こう論評した。憲法の改正、教育制度の改革、国際安全保障への積極関与、価値観外交の促進など、安倍氏が「戦後レジームからの脱却」という表現で総括する日本国のあり方の基本を定義づける課題はまったく論点とならず、反対も表明されなかったではないか、というのだ。

 もちろん異なる見解もある。どんなテーマにも多様な意見が錯綜(さくそう)する米国である。ロサンゼルス・タイムズは「安倍は日本のブッシュ?」というあざけりのにじむタイトルの社説で「傲慢(ごうまん)だという定評の安倍首相は戦争放棄の憲法の改正や軍事でのより広範な国際安保の役割を主張したが、有権者は彼の熱意を共有しなかった」と評した。

 この種の論調は「安倍たたき」に近い非難を続けてきたニューヨーク・タイムズも同様で、そもそも日本側がブッシュ政権と協力して同盟を強化することが危険だとみなすから、今回の選挙で安倍首相の基本政策が否定されたような見解をことさら強調する。

 しかし国政レベルで実務に責任を有する当事者となると、反ブッシュ陣営でも、民主党リベラルのトム・ラントス下院外交委員長が安倍首相の改憲努力に賛同を表明したように、安倍政権の対外政策を支持する向きが多い。大統領選に立つバラク・オバマ上院議員も、安倍首相が進める対テロ戦争など国際安全保障へのより大きな貢献を「普通の国」への道と評して歓迎した。

 だから今回の選挙も、首相の対外政策の根幹が否定されたわけではないし、そうであってはならない、という読み方に傾くこととなる。

 ブッシュ政権で最近まで国家安全保障会議アジア上級部長として日本やアジアへの政策実務を担当したマイケル・グリーン氏は、このへんの錯綜を整理する形で論評した。

 「安倍政権の崩壊というような推測は早計にすぎる。安倍氏は選挙の結果、野心的な外交政策や国家安全保障目標から後退せねばならないという観測があるが、その正反対が真実だろう。彼は外交や安保の政策のために選挙で障害にあったのではないのだ」

 グリーン氏はそして安倍首相がインド訪問やAPEC(アジア太平洋経済協力会議)、国連総会への出席で他の民主主義諸国との戦略的きずなの強化を主張し、国内的には集団的自衛権の行使を可能にする政策調整を終えることを提唱した。

 こうした米側の安倍首相の今後に対する見方には民主党への不安も明らかにからんでいる。「民主党にはまだ党としてのアイデンティティー(独自性)がなく、目先の国内政策以外の基本政策も不明」(アジア安保の専門家のブラッド・グロッサーマン氏)とか「(民主党の政策の結果)官僚の天下り規制などの公務員制度改革が遅れ、インフラなどへのばらまき公的支出が増えて『大きな政府』へと逆行する」(ウォールストリート・ジャーナル社説)という懐疑である。
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by deracine69 | 2007-08-03 08:01 | 政治  

【コラム・断 民俗学者・大月隆寛】丸川サマ、見せてもらいました

2007/08/02 07:46 産経新聞

 前略、丸川珠代サマ、あれだけの逆風をものともせず見事に当選、おめでとうございます。世の中ってやっぱりほら、ちょろいもん、でしたねえ。うふふのふ。

 これまで投票にすら行ってなかったことがバレてバッシング食らった時に、街頭演説で応援に来ていた片山さつきサマに抱きついて号泣した図、あれには心底感服つかまつりました。思わず兄貴分にすがってしまった若い衆、それこそかつてのヤクザ映画なんかじゃ定番の見せ場なわけで。あなたも片山サンもそういう意味じゃまさに同類、兄弟仁義のペンキ絵でした。

 とりあえず良家の子女に生まれ、ガッコのおベンキョだけはしつけられ、オンナとして見てくれも人並み以上、という、人としてまっとうになるにはそんな二重三重の不自由を背負いながら、おのれを静かに省みることもないまま東大からマスコミや官僚、そして議員サマと経歴サーフィンだけを要領よくやってのけるようないまどきの三十代女性ってやつの内面が、さて、どれくらいほったらかされたままだったのか、ってことを、どんな能書き並べるよりも雄弁に写真一発でわが同胞の眼前に切り取って見せた、のでありますからして。

 棚にあがって高みから能書き垂れてみせるその豪胆さなど、なんのことはない、あなたがたアタマの良い女性が忌み嫌ってみせるのがお約束な、あのニッポンのオヤジそのまま。もしもあなたがわれとわが身を虚心坦懐(たんかい)、鏡に映してみれば、あ~ら不思議、そんなオヤジの内面がそこにまざまざと映し出されているはず…なのですが、でも、いまや議員サマのあなたのこと、選挙後、さらに一段と焦点のあわなくなったかに見えたその瞳には、そんな些細(ささい)なこと、すでにどうでもいいこと、なのでありましょう。(民俗学者・大月隆寛)
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by deracine69 | 2007-08-02 07:46 | 政治  

荒波の安倍号、どこへ…(上)「七難八苦…まだまだ改革」

2007.07.31 12:45 中央日報

29日、日本の参議院選挙で自民党が惨敗した。めったに意思表示をしない日本の有権者たちが“一票”で安倍政権に審判を下した。しかし安倍首相は総理職を固守すると明らかにし、有権者たちが突き出した“レッドカード”を自ら“イエローカード”に変えてしまった。崖っぷちに立たされた自民党執行部も仕方なくこれを容認する雰囲気だ。しかしいつまで持ちこたえられるかは未知数だ。今すぐ参議院第1党として浮上した民主党が黙っていない態勢だ。もちろんこれに食いかかる安倍首相の反撃もたやすいものではなさそうだ。荒波に包まれた日本の政局を深層診断する。

「我に七難八苦を与えたまえ」

安倍晋三首相が自民党の選挙惨敗が確実視されると首相官邸のある側近に打ち明けた言葉だという。この言葉を初めて使った人は戦国時代、山陰地方の武将、山中鹿之介。主君として大名、尼子家が没落するや「必ず家門の再建を成す」と誓い、言った言葉だ。そうだったら、安倍首相が家門の故郷先輩でもある山中の言葉をこの時点に引用したわけは何だろう。

安倍首相の言葉には「今度の惨敗で政治名門家の自尊心に傷がついた。決して、このまま退くことはできない。必ずその栄誉を再建する」という強い意志が集約されている。それは祖父岸信介元首相の長女であると同時に安倍首相の母親である洋子さんの意でもあった。そしてこれは29日夜、即刻「退陣拒否」発表となって現れた。

29日の参議院選挙で自民党の得た議席は37席。民主党は60席だ。この規模の惨敗は自民党52年歴史の中で1989年の宇野宗佑政権の36席に続き2番目だ。常識的なら頭を下げて直ちに退陣するのが筋だ。政権交代は衆議院選挙が牛耳るが、89年の宇野首相、98年の橋本龍太郎、44席)首相も参議院敗北で責任を負った。しかし安倍首相はそうしなかった。信じるものがあったからだ。

◆自民党内部事情予測して根まわし=安倍首相はすでに惨敗を予言し、手を回していた。“ポスト安倍”1順位に挙がった麻生太郎外相を29日、選挙当日昼、首相官邸に呼び、現状維持に成功した。15人の議員しかない群小派閥出身である麻生氏は今出ても勝算のないゲームだということを分かっていて考えを変えた。安倍首相の出身派トップである町村信孝元外相も安倍首相の頼みを受けて迅速に動いた。彼は29日、党内第2派閥である津島派(旧橋本派)のトップ津島議員に電話をかけ「挙党的に対応しよう」とし“自粛”を要請した。現在、閣僚が1人もいない津島派としては安倍首相に“借金”を抱えたようにして今後の内閣改編で配慮するという計算だった。他の派閥たちも同じだった。

日本の自民党は30日、主要党役員会議を開いて安倍政権を維持すると最終的に決めた。

このように安倍首相は現在、自民党に「安倍引き下ろし」に積極的に銃を担いで出るエネルギーも迫力もないことを見通していた。橋本元首相の退陣のときは小渕恵三という強い後継者がいたし、彼を押してくれた竹下登という“キングメーカー”もいた。しかし今はそんな人物もいない上、派閥の結束力も劣った状態だ。

選挙で惨敗しても党総裁と総理職を追い出されないこともあることは前任者である小泉純一郎氏が党内派閥をぶち壊したおかげだ。小泉氏は“構造改革”の名分の下、地方公共事業を縮小したために今回の敗北の一原因を提供した。

◆憲法改正に対する執着も作用=安倍首相が退陣を拒否したもう1つの理由は、憲法改正に対する執着からだ。首相は30日、記者会見でも「国民投票法案が通過された後、3年間は憲法改正案提出が不可能だからその間に確実に対応していく」と言った。憲法改正の道を確実に作った後で退けば、次期首相が入ってきてもその流れを受け継いでいくことができるというものだ。安倍のある側近は「今後の政権の求心力回復のためにも憲法改正作業を加速化していく」と言った。これから政局の争点が憲法改正になることを予言したものだ。

安倍首相が山陰地方の山中鹿之介の言葉を引用して“退陣不可”の意志を堅めたが、実は山中は中国地方の敵軍、毛利家によって殺害され、結局尼子家は再建に失敗した。安倍首相の執着がどんな結末をもたらすか注目される。

◆安倍首相辞任しなくていいのか=政権の運命を決めることは衆議院だ。衆議院が首相選出権があり、現在、自民党は衆議院単独過半数を確保している。参議院選挙で敗れても必ず総理職を下りなければならないわけではない。しかし、歴代首相らは参議院選挙に大敗した場合、円滑な国政運営ができないと判断、辞任する場合が多かった。

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by deracine69 | 2007-07-31 12:45 | 政治