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コンゴ 「アフリカ大戦」再燃に目を

2008年11月14日 朝日新聞 私の視点
国際協力機構客員専門員(平和構築) 米川正子

 泥沼の内戦が続くアフリカ中部のコンゴ民主共和国(旧ザイール)。過去10年に戦闘や病気、飢餓などで犠牲になった人は約540万人とも言われ、第2次世界大戦以降、最悪の数字だ。

 ルワンダ、ウガンダ、アンゴラなどの近隣国のほか、リビアや南アフリカなど17カ国以上の国が、紛争当事者を直接、間接に支援し、「アフリカ大戦」と呼ばれた時期もある。最近、戦火が再び激化し、月に4万5千人が命を落としている。

 私は戦闘地域である東部の拠点都市ゴマで、今年7月までの約1年半、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の現地事務所長を務めた。国内避難民85万人、ルワンダ難民1万人の保護と支援が任務だった。

 だが、現地には小型武器が大量流入し、あちこちで戦闘が起きていた。国内避難民が住むキャンプの安全確保は困難を極めた。

 ゴマから離れた町の刑務所で15歳くらいの少年に会った。「牛の世話をしたら100㌦あげる」とだまされて反政府勢力に取り込まれ、少年兵にされたという。逃げ出して山中をさまよった末、コンゴ当局に逮捕されたのだ。内戦から逃げ回って学校に行く機会もなかったため、自分の出身地すらわからない。読み書きもできなかった。

 難民キャンプで育ち、仕事がなくて反政府勢力の勧誘に乗る若者も多い。女の子はキャンプから薪拾いに行ってレイプや誘拐の被害者になる。「女性や少女にとって世界で最悪の場」(国際刑事裁判所)である。

 一般住民をおきざりにしているのは、政府軍も反政府勢力も同様だ。双方に人権保護と難民、避難民の安全な帰還に協力するよう呼びかけたが、相互の不信感は埋めがたかった。国連平和維持部隊にも十分な強制力がなく、成果はなかなか上がらない。

 紛争の背景には、この国に豊富な天然資源を巡る国内勢力の対立がある。金やダイヤモンド、天然ガス、石油などがあり、かつては日本の企業や商社もかなり入っていた。携帯電話、ノートパソコン、ゲーム機などに欠かせない希少金属タンタルを含む鉱石コルタンは、世界の埋蔵量の8割がこの地域にあると言われる。資源を不法に安く確保するには、紛争状態の方が好都合と考える周辺国や先進国企業が、少なくない。そこに、民族対立や、外国勢力の介入が複雑に絡み合っている。

 この紛争は私たちの生活と無縁ではない。「人間の安全保障」を外交の基軸にする日本政府なら、対話や調停を通じた政治的解決をしてほしい。また、コンゴ人が平和な社会を取り戻せるよう、人材育成に力点を置いた支援に取り組めないだろうか。たとえば、「柔道」を通して相手を敵視せずに尊敬を持って接することを教える、といった日本ならではなの支援の形もあるのではないか。
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by deracine69 | 2008-11-14 06:00 | アフリカ