2月26日13時34分配信 産経新聞
靖国神社に合祀(ごうし)された元軍人・軍属の遺族が「同意のない合祀で、遺族の人格権を侵害している」などとして、靖国神社と国を相手取り、合祀者を記した「霊璽簿(れいじぼ)」などから親族の氏名削除と原告1人あたり100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、大阪地裁であった。村岡寛裁判長は「合祀で原告らの法的利益が侵害されたとは認められない」として原告側の請求を退けた。 靖国神社の合祀をめぐり、神社を被告として是非を問う同種訴訟は東京と那覇両地裁で係争中で、初めての司法判断。国に対しては韓国人遺族らによる訴訟で平成18年5月、東京地裁が請求を棄却している。 訴えていたのは島根県の住職、菅原龍憲さん(68)ら9人。原告側は直接合祀取り消しを求めず、霊璽簿や祭神簿などからの氏名削除を請求。さらに親族が英霊として祭られ続けることについて、遺族が敬愛追慕する権利の侵害を訴えた。国には、親族の氏名など個人情報を神社に伝えたのは不法行為にあたるとして賠償を求めていた。 これに対し、靖国神社側は「霊璽簿などは合祀手続きに不可欠。極めて重要な宗教行為の一部であり、法律上の争いに該当しない訴えだ」と主張していた。
2009/01/25-21:05 時事通信
貴乃花親方(元横綱)は、優勝回数で朝青龍に抜かれたことについて多くを語らなかった。朝青龍の評価には触れず、「わたしはひと言、若い力士に向けて」と前置き。声明を発表するような口調で「毎日こつこつ精進することが真の相撲道であることだけ、分かってもらいたい」。朝青龍のけいこ嫌いが伝えられているためか、後輩たちにけいこの大切さを訴えていた。
11月21日11時21分配信 産経新聞
立正大学(東京都品川区)は21日、資産運用のための金融取引をめぐり、今月9月末時点で約148億円の含み損を抱えていることを明らかにした。大学側は「あくまでも含み損であり、ただちに学校運営に影響するものではない」と説明している。 同大によると、国内の証券4社を通じ、国債や地方債、投資信託のほか、円で購入した豪ドルを組み込んだ仕組み債として資産を運用していた。含み損は、今年3月末時点では約96億円だったが、金融市場の混乱や円高の影響で、約148億円に拡大した。 同大は「満期保有が基本の仕組み債で、最終的な損失額は確定していない」とし、現時点での評価損は計上していない。 大学の金融取引をめぐっては、駒沢大学(東京都世田谷区)がデリバティブ(金融派生商品)取引で約154億円の損失を計上していることが判明している。 文部科学省は、立正大のケースについて含み損であることから静観しているが、塩谷立文科相は同日の閣議後会見で「このような事態が相次ぐようであれば、資産運用に関して規制が必要かもしれない」と話した。
2008/11/17 10:00 日刊ゲンダイ
建築廃材の不法投棄で硫化水素を発生させ、廃棄物処理法違反(不法投棄)の容疑で島根県警に逮捕された「東横イン」創業者で元社長の西田憲正(62)。06年にホテルの不正改造が発覚した際には「時速60キロのところを67〜68キロで走る程度」との暴言を吐き、大ヒンシュクを買った。問題発覚で経営から退いた後も、支店長会議などで陣頭指揮を執っていたという西田。従業員がなぜ、こんな“暴君”の言いなりになるのか不思議だったが、ヒミツは同社の社員研修にあった。 体験者が言う。 「実は東横インでは『内観』という社員研修があります。ついたてで囲まれた半畳ほどの場所で8日間、テープで流れる囚人らの回顧録や体験談を聞き、人生などについて考えさせられるのです。私語禁止で、外部との連絡は一切取れない。当然、携帯電話もナシ。まさに刑務所の独房です。暗い顔で泣きじゃくって帰る人もいた。つまり一種の洗脳状態でした」 この体験者によると、研修は社員だけでなく、下請け会社の社員にも求められたという。 半信半疑で「東横イン」に聞くと、「『内観』についてはサイトをみてほしい」(広報)。 見ると、「内観」は同社の箱根国立公園内観研修所が舞台。説明文によると、研修期間は日曜午後4時から7泊8日。条件として「他の人とおしゃべりせずに1週間すごせる人」「本や新聞、テレビ、ラジオは禁止」だった。目的は「社員研修の一環として」とあるが、「心理学研究の体験学習」「自分の歴史を振り返り、生き直すため」「<こころ>の援助者としての資質向上のため」なんて目的も載っている。何やらカルト的だ。 その研修費は一般6万円、学生、派遣社員は5万円。一般と派遣を区別する理由は不明だが、とにかくベラボーな金額だ。 西田の肝いりで始めたらしいが、本人は本当に研修を受けたのか……。
2008年11月16日 朝日新聞
「高島易断総本部」や「高島易断崇鬼占相談本部」と名乗る宗教法人・幸運乃光に高額な祈祷料などを支払わせられる被害を受けたとして、6人が10月末、計1600万円余の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。3月には経済産業省が特定取引法違反で3カ月の業務停止を命じている。一体どんな団体なのか。(茂木克信) 幸運乃光の大本山である成龍寺(千葉県袖ヶ浦市)を10月末に訪ねた。JR千葉駅から内房線で南に7駅行くと長浦駅。そこから東京湾沿いの工場群を眺めながら約20分歩くと、300を超す石塔が両脇に並ぶ坂道を上った丘の上に、本殿や客殿、庫裏、石製の五重塔などが並ぶ。敷地の総面積は約2万平方㍍に及ぶ。 境内に人気はなく、1042区画の墓地はガラガラだった。本殿で「見習い中」という男性が1人で仏具を磨いていた。「朝、昼、夕の3回、祈祷社のために勤行しています」と話した。 * * * 登記簿によると、幸運乃光は1974年(昭和49)年の創立。成龍寺の敷地は91年、千葉地裁の競売開始決定を受けて差し押さえられている。 経産省によると、幸運乃光は「高島易断の人生相談」という新聞チラシを配り、ホテルの一室などで約10日間、2千円で易鑑定をすると宣伝。訪れた人を「家族全員地獄に落ちる」「大本山に供養塔を建てて祈願すれば災いをはらえる」などと脅し、2~3年分の祈祷料やお札、教本代などとして最高で934万円を支払わせていたという。 鑑定士は、新聞広告で集めた人に約3ヵ月の研修を施し、マニュアルを覚えさせていた。給料は歩合制で、どれだけ稼げるかを競わせた。邦人の06年度の売上高は8億6千万円に上る。こうして集めた金の一部が豪華な大本山に使われたとみられる。 「高島易断」とは、明治時代の占師・高島呑象が始めた易学のことだ。商標登録が認められておらず、だれでも名乗れる。関連団体は100を超え、高島暦という運勢暦の本が色々出版されているが、各団体のつながりは薄い。 幸運乃光では、94年に代表役員になった「高島成龍」と名乗る男性(49)が運勢暦の本を監修している。 91年には代表取締役を務める株式会社「高島易断総本部発真会」が祈祷料収入の一部を隠したとして東京国税局に約2億円を追徴課税されたことが発覚。99年には出資法違反(高金利)の疑い、02年には偽計業務妨害の疑いで警視庁に逮捕されている。 * * * 80年代に鑑定師として所属していた都内の団体の会長は「うちでは破門した。易は人助けのためのもの。金もうけに使われ、迷惑している」と憤る。今回、訴訟を起こした「高島易断霊感商法被害弁護団」団長の山口広弁護士は「チラシやホテル代で数百万円かかる。2千円の鑑定料だけでは20人来ても4万円。初めから100万円以上支払わせるつもりなのは明らか」と話す。詐欺などの容疑で刑事告訴も検討しているという。 幸運乃光は経産省から業務停止命令を受けた直後、10人以上いた鑑定師をやめさせ、今は目立った活動をしていない。宗教法人を所轄する文化庁宗務課は「解散命令請求を裁判所に出すことはできる」としつつ、「当の法人は易をやめたと聞いており、慎重に対応しないといけない」としばらく見守る構えだ。 幸運乃光ほどではないが、被害弁護団には高島易断関連の相談電話が計250件寄せられ、被害総額は3億2千万円に上る。相談は、電話(03・3358・6179、月・水・金曜の午前10時~午後5時)で受け付けている。 国民生活センターによると、スピリチュアルブームもあり、祈祷に関する相談件数は年々増えている。07年度は4年前の約1.8倍の2094件を数えた。祈祷サービスは07年7月に特定商取引法規制対象になり、8日以内ならクーリングオフができる。 Links: 【インチキ占】高島易断元会長逮捕。【自分の未来は占エマセーン】
2008年11月13日 朝日新聞 日々是修行 佐々木閑
まっとうな宗教なら、「人を殺せば幸せになれる」とは言わない。「自分が嫌なことは、他人も嫌がるに違いない」という同類への配慮があって初めて、人の心は和むのであって、他者を「殺してやろう」と、心がグツグツ煮えたぎっている者に、安穏などありえないからだ。宗教の目的が、「穏やかな日々の実現」になるなら、そこには必ず「同類を殺すな」という教えが入ってくる。だから宗教は、流血とは一切無縁なはずなのだ。 * * * ところが話は逆だ。誰もが知る通り、多くの宗教の過去は血塗られている。宗教のせいで殺された人の数は想像もつかない。これはあまりに大きな矛盾ではないか。なぜ宗教が殺人と結びつくのか。 その一番の理由は、「同類を殺すな」という場合の「同類」の意味の取り違えである。それを「同じ考えを持つ者」と限定していしまうと、「自分たちの考えに従わない者は同類ではない。敵だ。敵なら殺しても構わない」という理屈になる。殺さないまでも、「敵なら苦しめてよい」と、憎しみが正当化される。 「同類」の意味をどう設定するかで宗教は、優しく穏やかなものになったり、苛烈で排他的なものになったりする。その宗教がどれほど平和的で穏健なものか知りたければ、その宗教の「同類意識の幅の広さ」を見ればよいのである。 * * * 仏教の歴史にも、血の染みはついている。それは否定できない。だが釈迦にまで遡れば、そこに暴力の影はない。釈迦の仏教は、「人には、仏の教えで助かる者もいれば、そっぽを向いて別の道を行く者もいる。せめて、こちらを向いてくれる者だけでも助けよう」と考える。自分たち考えを認めない者を「教えの敵」とは見なさない。「こちらへ来てくれないのは残念だ」と失望するだけだ。すべての生き物は「同類」なのである。 「考えは異なっていても、生き物としては皆同類だ」と考えることで、釈迦の仏教は一切の暴力性を振り払った。その理念は、現代社会でも貴重な指針となるだろう。 (花園大学教授)
2008年10月30日8時0分 FACTAonline
印刷FACTAブックマークに保存 総選挙を控え、旗色の悪い自民党公認候補の「宗教団体詣で」が目立っている。かつての支援教団・霊友会が選挙から手を引き、立正佼成会は民主党の応援に回っている。代わって浮上してきたのが、政界進出を目論む幸福の科学(教祖=大川隆法・総裁)だ。昨年の参院選で当選した、自民党の丸川珠代氏の選挙応援を手始めに、次期衆院選では信者の擁立に動いている。 86年に大川氏が創始した幸福の科学は現在、全国に27の「精舎(しょうじゃ)」と呼ばれる礼拝施設を建設し、300余の支部を持つ。教団職員数は1千人を超え、信者数は推定100万人程度と見られるが、非公表のため定かではない。その教団内で今、「変事」が起きている。 88年に大川氏の妻となり、「総裁補佐」「副総裁」として教団を指導してきた大川きょう子夫人が突如、すべての役職を退いたからだ。同時に、教団のホームページから、夫人の経歴や業績を紹介するコーナーが削除され、幸福の科学出版から出版されていた夫人の著作もすべて撤去された。さらに、教団職員から信者に対して「『先生』は大川先生ただ一人。今日からきょう子氏を『先生』と呼ぶ必要はない」とのお達しもあったという。 夫人は「文殊菩薩」「ナイチンゲール」の生まれ代わりとして崇められ、女性信者組織「アフロディーテ会」会長を務めてきただけに、信者の間に動揺が走ったとしても不思議ではない。 関係者によれば、大川氏は8月末に千葉県内の支部で行った説法の中で、夫人を「勇退」させる理由を、次のように説明したという。 「妻との間で布教方針をめぐる対立があり教団内に混乱を招いている……、私は布教活動に命を投げ打つ決意だが、妻はそれに反対している……、世界布教を実現するためには信仰をエル・カンターレ(「大川氏自身の意識体」とされる)に一本化する必要がある……」 この説法を受けて、教団のホームページだけでなく、布教施設からもきょう子氏のすべての足跡が「消去」されたという。夫人の出身地である秋田県は、教団の「準聖地」(「聖地」は大川氏が生まれた徳島県)。そこには田沢湖正心館のほか文殊館が建ち、文殊像やナイチンゲール像があったが、それらもみな撤去された。 大川氏と夫人の間で、どのような協議がなされたかは不明だが、教団の「女神」として大川氏に次ぐ信仰の対象だった夫人は「(勇退と同時に)一信者の扱いになった」(教団関係者)という。「文殊菩薩」や「ナイチンゲール」の生まれ変わりが、ある日突然、一信者に降格とは理解し難いが、「大川教祖の決定は絶対」ということのようだ。 きょう子氏は65年生まれ。東大文学部在学中に入会し、卒業と同時に大川氏と結婚、5人の子宝に恵まれた。最近では夫人単独の講演を行い、著作物も増えていた。大川氏に次ぐ権限を握り、教団職員の人事などにも影響力を及ぼしていたようだ。「先生は大川先生ただ一人」というお達しは、教団組織に大川氏と夫人という「二つのヘッドはいらない」ことを示している。それにしても、「女神」から信者に降格された夫人は、今後どのように教団にかかわっていくのか……。新興宗教に接近する立候補者は、教団の内情にも目を配るべきだろう。
オグシオのオグこと小椋久美子(25)はすでに現役を続行してロンドン五輪を目指すと
明言しているが、シオこと潮田玲子は態度を保留中である。現役続行か?はたまた引退 してキャスターに転身か?日本バドミントン協会はいま、潮田の引き留めに懸命になっている。 芸能リポーターの井上公造氏は、こう解説する。 「大手広告代理店関係者から聞いた話では、4~5社がオグシオをCMに起用したいと 申し出ている。ギャラは1本3500万円~4000万円。これは中堅芸能人クラスです」 これでは、タレント業に心が動いても無理はない。そんなさ中、協会上層部が、なぜか スピリチュアルカウンセラーの江原啓之に激怒している、という。コトは3週間前に遡る。 10月4日に放送された「オーラの泉 スペシャル」(テレビ朝日系)。江原は執拗に 「引退勧告」を繰り返したのだ。 そして、「女性の道を進みたいでしょう。結婚もしたいですよね、肉体的にも限界を感じて ますよね。このままじゃ体が壊れてしまう」と締めくくると、感極まったのか潮田は涙を ポロポロとこぼした――。 これに、協会幹部は怒り心頭に発したという。 「ある幹部は『なんだ、あの番組は。江原ってオーラがどうだとか適当なことを言うやつ だろ。出演する二人も二人だ。五輪代表として背負っているものの大きさがわかって いるのか』と激怒していました」(スポーツ紙デスク) 潮田が流した涙の意味は何だったのか――。 週刊文春2008年11月6日号よりごく一部を抜粋。全文はご購入の上ご覧ください。
10月27日19時17分配信 毎日新聞
「高島易断総本部」などの名称で開かれた相談会に参加した6人が27日、恐怖心をあおられ高額の祈願料などを支払わされたとして、宗教法人「幸運乃光」(千葉県袖ケ浦市)と小沢茂男代表らを相手取り計約1644万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。 訴えによると、6人は「鑑定料2000円」という広告を見て相談会に参加。鑑定師に「このままでは自滅する」などと言われ、それぞれ76万~703万円を支払わされた。 幸運乃光は3月、特定商取引法に違反したとして、経済産業省から3カ月の業務停止命令を受けていた。「高島易断」は商標登録されておらず、同じ名前の団体が複数ある。幸運乃光は「高島易断所」や「高島易断総本部神聖館」とは無関係だ。【奥山智己】
――なぜ女性は「スピリチュアル」にハマるのか?
2008年10月17日0時1分 ダイヤモンド・オンライン 西川敦子(フリーライター) 「この仕事は私の天職ではありません。辞めたいんです」 思いつめた表情の女性部下から突然そう言われて、中田堅司課長はたじろいだ。 「だって、まだ中途入社してから1年経っていないよ。少なくとも4、5年は頑張らないと、仕事は身につかないんじゃないか? だいたい天職に就ける人間なんて、そういるもんじゃない。みんな与えられた場で頑張っているうちに、少しずつプロになっていくんだ」 「天職は誰にでもあります。魂を喜ばせるためにする仕事が『天職』なんですよ。生きる糧を得るための仕事は『適職』にすぎません。私はこれまで4回、転職しましたが、結局天職に出会うことはできなかった。きっとどこかにあるはずなんです」 思わず沈黙してしまった中田課長。彼女の言うことはまるで理解できない。魂が喜んでいないから転職するだって? 最近は若い男性も簡単に会社を辞めてしまうが、こんな理由は聞いたことがない――。 「胡散臭い」?「魂が向上する」? 流行のスピリチュアルの実態とは 近年、30代前後の女性たちが、「前世」「霊」「オーラ」といった言葉をよく口にするようになった。彼女たちが信じているのはスピリチュアリズム、通称「スピリチュアル」だ。霊の存在や、霊と人間の交流を信じるという意味で、テレビ朝日の「オーラの泉」からブームに火がついた。 ブームの中心となっているのが江原啓之氏。彼に傾倒する女性は非常に多く、「エハラー」などとも呼ばれている。最近では、癒しカウンセリングやお守りの販売など、さまざまなビジネスにも発展。全国60ヵ所ある会場では、11万人が参加するという大見本市「すぴこん(スピリチュアル・コンベンション)」まで開催されているという。 「霊との交流」というとまるで新興宗教のようだが、スピリチュアルには教会はない。多くのエハラーたちは組織に属することなく、本やテレビなどを通じ、静かにその教えを学んでいるようだ。仕事面でのプラス効果もあるらしく、筆者の周りのエハラーはいつも同僚に優しく接し、つらい仕事にも音を上げない。 ところが中には、「波動の合わない人といると具合が悪くなる」「ここは自分にとって学びの場ではない」と仕事を辞めてしまう人もいるという。江原氏の説くスピリチュアルでは、苦難は魂を磨くための大切なプロセス。けっして無責任な退職を勧めているわけではないらしいが、自分に都合のいい解釈をする傾倒者も少なくない。 そんなこともあり、スピリチュアルブームを「胡散臭い」「不可解きわまりない」と見る人もいる。とくに男性の間では抵抗感が強いようだ。 「結婚前うちの奥さんがはまっていましたね。私にも関連本を勧めてきました。『くだらないからやめろ!』とはっきり言い渡しましたよ。霊との交信なんて、まともな大人が信じることじゃないでしょう。以来、彼女は一切スピリチュアルのことを口にしなくなりました。部屋にあった本も見かけなくなったので、今は熱が冷めたんじゃないですかね」(IT関連会社勤務 30代男性) 「僕の周りにも2人ほどいるんです。『今の自分を愛せばいい』という彼女たちの言葉には、抵抗を感じちゃいますね。自信が持てないから、自分にそう言い聞かせて安心したいのでは?なんだか、いつも自分を受け入れてくれる相手や環境を探しているようにも見える。仕事を頑張って、自信を獲得しようとは思わないのかな」(出版関連会社勤務 20代男性) 女性がスピリチュアルにハマるワケ いったいなぜ女性たちの間で、これほどスピリチュアルが広まっているのだろう。スピリチュアリズムの研究者である慶応義塾大学准教授 樫尾直樹氏に聞いてみた。 「スピリチュアルブームは今に始まったことではありません。テレビ・メディアの開花とともに、超常現象などへの関心も広まり、70年代頃から何度か大きなブームが訪れています。超能力者を名乗るユリ・ゲラーのスプーン曲げなどはその典型でしょう。 ただ、江原啓之氏を中心とする今のブームには、これまでと違う点もある。担い手の心理です。現代は不確実性の時代。政治も社会も経済も混迷し、人々はただならぬ不安のなかに生きている。だから、『運命を予知したい』『目に見えないものをみきわめたい』という欲望を抱きやすいのです。そのための解決策が、スピリチュアルといえるでしょう」 樫尾氏は、女性に傾倒者が多い理由として、「生理」や「出産」などの身体特性を挙げる。 「男性と違い、生理のある女性は、それだけ自分の身体を身近に感じる機会が多いはず。出産により、死と隣り合わせの体験をする人もいる。生理も出産も、自分の意志で100%コントロールすることはできません。当然、大いなる自然によって生かされている自分を感じる機会が多いはずです。これに対し、仕事上の成功やマイホームの獲得によって自己実現欲求を達成する男性は、女性の感じる身体性とは程遠い場所に生きています。多忙なビジネスマンほど、その傾向は強いのでは」 なぜ女性は「自己実現欲求」に駆り立てられるのか? ただ、スピリチュアルにはまる女性の中には、もともと「自分探し」の好きなタイプが多いようだ。 「彼女たちは、確固たる価値観や世界観を持つことができず、不透明な未来に悩み、怯えていた。だから、祖先や前世、霊といった見えないものとの関係を作り出すことで、自分の位置を探しているのでしょう。ただし本来、自己実現など幻想にすぎません。それなのに、消費社会に生きる現代人たちは、お金さえあれば自分の未来も操作できると思い込んでいる。分をわきまえることが美徳とされた時代は、すでに過去となってしまいました」 じつは、当の江原啓之氏も自著「苦難の乗り越え方」(PARCO出版)で、次のように述べている。 「私のメインの読者はだいたいが主体性欠如の人たちです。偏差値教育で順位をつけられて、“いい子”であることを求められてきた世代です。そのせいか、スピリチュアリズムも一生懸命に本を読んで理解すればいいんだろうと、わかったふりをしたがる習性がついているように思います」(「苦難の乗り越え方」より抜粋) 働いている独身女性だけでなく、子育てが一段落した既婚女性もはまりやすい、と樫尾氏。家庭や子どものために見失った自分を取り戻し、アイデンティティを再確認しようと、スピリチュアルに惹かれていくという。 一部の「主体性欠如」の傾倒者たちは、現実逃避の手段としてスピリチュアルを利用してしまうのかもしれない。たとえばこんな具合である。 ■仕事がうまくいかない→「天職」ではないから ■既婚者に恋をした→「ソウルメイト(魂の伴侶)」なので手放してはいけない ■家族に自立を求められている→愛が欲しいのに満たされていない「愛の電池不足」だ 「いい子」を演じ主体性を失う女性たち 問題は、主体性や自信を持てずに苦しむ女性がそれだけ多いという事実だ。 経済産業省の調査(2006年)によれば、新人に「主体性」を求める企業は8割超に上っている。たしかに最近、自ら課題に取り組む「自律型人材」育成の動きは活発だ。だが、一方で企業は「忠実に職務をこなしてくれる人材」も確保しておきたいのではないか。 そして、その役割はいまだに女性たちが担っている。男性ほど職場で活躍できない女性の中には、主体性を発揮するチャンスが少なく、「もっと別の場で成長したい」「仕事で充実感を得たい」と考える人もいるかもしれない。 樫尾氏が指摘するように、今はだれもが自己実現欲求を持つ時代だ。そんな時代の空気に追い付いていけないジレンマが、彼女たちを焦らせ、悩ませるのではないだろうか。 また、日本型の良妻賢母教育は「自分を殺す」教育だった。その伝統はいまだに女性の生き方に影響している。ついつい、「よい成績をとるいい子」「職場で役に立つ優秀な女性」「子育ても仕事も手抜きしないお母さん」を演じてしまうのだ。いくら業績を上げたところで、それが演技である以上、ほんとうの主体性や自信にはつながらない。 あなたの妻、恋人、部下がハマったら・・・ スピリチュアルによって、その悩みが解消するのであれば問題はない。 「前世や未来といった『自分の物語』を得ることで、生き生きと生きられれば、それはそれですばらしいことです。人は根本的に、なんのために生きるのかという実存的な渇きを持っているもの。目に見えないものを切り捨てがちな今の時代、その渇きを癒すことができる彼女たちは、幸せともいえます」(樫尾氏) とはいえ、一時のブームに踊らされているだけの女性は、また同じようなむなしさにとらわれないとも限らない。そんな場合は、むなしさの正体と真正面から向き合うしか、乗り越える方法はないのではないか。 盲目的にスピリチュアルに傾倒している女性は、男性からするとやや近寄りがたい存在かもしれない。だが身近な人がそうなった場合、むやみに否定するのではなく、その心情の背景に目を向けてみてはどうだろう。ひょっとすると、彼女たちはどこかで自分を殺してはいないだろうか? 職場でも家庭でも完璧主義に徹し、疲れている様子があれば、助け船を出さないと潰れてしまうかもしれない。 もちろん、「魂が喜ばない仕事はイヤ」とゴネるような部下には、はっきり「NO」を言い渡そう。職場は「学びの場」である以前に「働く場」なのだから。 < 前のページ次のページ >
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