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イラク本格政権発足 内相・国防相人事先送り 「治安」重い課題

 【カイロ=加納洋人】イラク国民議会は二十日、新首相に指名されたヌーリ・マリキ氏が提出した閣僚名簿を賛成多数で承認。これにより、二〇〇三年のフセイン政権崩壊後初めて、新憲法に基づく本格政権(任期四年)が発足し、イラク民主化の政治プロセスは新たな段階を迎えた。しかし、治安関係の内相と国防相の人選が先送りされたうえ、首都バグダッドではこの日、テロで数十人が死傷するなど、本格政権にとって治安回復が、重い課題としてのしかかっている。



 二十日の国民議会では、マリキ氏が閣僚名簿を読み上げ、議員の挙手による採決で承認された。マリキ氏は就任演説で、「われわれはイラク国民の統合を維持するために働く」と述べたうえで、テロの終結に取り組むことを強調。駐留多国籍軍からイラク側への治安権限移譲を進め、駐留米軍などの早期撤退実現に意欲を示した。

 新政権では、内相はマリキ首相が、国防相はザウバイ副首相がそれぞれ兼務し、人選を一週間先延ばしした。外相はジバーリ氏(クルド人)が続投。石油相には核科学者のシャハリスタニ元国民議会副議長(シーア派)が就任した。去就が注目されていたジャブル移行政府内相(シーア派)は財務相に横滑りした。

 ロイター通信によると、首相を含む四十のポストのうち、シーア派連合会派「統一イラク同盟(UIA)」が兼務の内相を含め十二。「クルド同盟」が七。スンニ派会派「イラク合意戦線」が四。アラウィ元首相率いる世俗主義勢力「イラク国民名簿」が四ポストを得た。

 イラクでは、昨年十二月、イラク民主化の政治プロセスの最終段階である国民議会選挙が実施されたが、本格政権発足には主要閣僚人事をめぐり各派が対立し、発足まで五カ月以上を要した。特に内相と国防相人事では、マリキ氏が民族・宗派主義を排除するため、独立系の人物の選出を目指したものの、一部会派の反発から合意には至らず、見切り発車の形となった。

 イラクではテロや暴力が依然深刻で、首都バグダッドでは二十日、シーア派住民を狙った爆弾テロで十九人が死亡、五十八人が負傷した。

(産経新聞) - 5月21日2時56分更新

by deracine69 | 2006-05-21 02:56  

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