仏・リビアの原子力協力調印 独「核拡散の恐れ」

7月28日8時0分配信 産経新聞

 【ベルリン=黒沢潤】フランスのサルコジ大統領が25日、リビアを公式訪問し、同国の最高指導者、カダフィ大佐と原子力協力の覚書に調印したことに対し、ドイツなど欧州から「核拡散につながりかねない」などと懸念の声が上がっている。

 エアラー独外務次官は27日付の独紙、ハンデルスブラット上で、「このビジネスは政治的に問題だ」と、フランスへの不快感を露骨に表明した。

 海水から飲料水を作る際に利用される原子力発電所が、仏独の合弁企業(独側が株式の34%を保有)を傘下に置く仏企業から提供されるとみられるためで、ドイツの核技術が独政府の了解なく中東に流出しかねない事態に憂慮を示したものだ。

 メルケル独首相率いる保守系与党キリスト教民主同盟(CDU)も、社会民主党と大連立を組んでいる手前、17原発の段階的廃止という前社民党政権の方針を踏襲しているものの、将来の方針転換をもくろんでおり、今回の件は看過できない。

 独仏関係はおおむね良好だとはいえ、サルコジ大統領のユーロ高是正や欧州中央銀行への積極関与といった欧州連合(EU)をめぐる一部の政策については、独国内で懐疑的な声も強く、今回の一方的調印には独議会から批判が噴出しそうだ。

 米国から「無法国家」呼ばわりされていたリビアは2003年12月に、米英両国との秘密交渉に基づき大量破壊兵器の開発放棄を宣言しており、仏政府は今回の原子力協力調印に当たり、リビアへの信頼を強調した。だが、カダフィ大佐による独裁体制や同体制下での人権感覚の希薄さに国際社会が向ける視線には、なお厳しいものがある。

 今回の調印は、リビアで死刑判決を受けたブルガリア人看護師ら6人の解放に対する見返りといいう色彩が強く、仏反核ネットワーク「核からの脱却」(約800団体加盟)も「人質と核技術を取引する企てだ。サルコジはカダフィが独裁者であることを忘れている」との非難声明を出した。
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by deracine69 | 2007-07-28 08:00 | ヨーロッパ  

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