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<京都議定書>目標達成は「極めて厳しい状況」…中間報告

8月10日21時35分配信 毎日新聞

 京都議定書による温室効果ガス排出削減の目標達成計画を見直している環境省と経済産業省の合同審議会が10日開かれ、見直しの中間報告をまとめた。報告によると、排出削減計画の進み方は「極めて厳しい状況にある」とし、すべての対策が計画通りに進んだ場合でも2010年度には2000万トンの削減が不足、対策が現在のペースなら不足は3400万トンに拡大する見通しだ。それも、原子力発電の稼働率を高く設定し、産業界の自主行動計画は順調に達成されるという条件での試算で、委員からは「前提が甘すぎる」などと厳しい意見が相次いだ。

 政府の目標達成計画の問題は、国内では達成されたことのない原発稼働率87~88%を前提にしていることだ。東電のトラブル隠しの影響で、03年度は59.7%。04年度からは7割前後で推移する。さらに、中越沖地震で停止した柏崎刈羽原発の代替で火力発電を動かした場合、二酸化炭素(CO2)排出量は全体の2%にあたる年間2800万トン以上、増える見込みだ。だが、政府は今回の見直しでも原発の位置付けを変えていない。

 電気事業連合会が10年度までに3000万トン分の排出権を確保することがその根拠となっている。だが、排出権は現在、1トンあたり約1000~3000円程度。電事連は「今後は発電コストとして排出権購入費の転嫁を議論する可能性もある」と話す。NPO環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は「エネルギーシステムを再生可能エネルギーを基本とするものに変えるしかない」と指摘する。

 「総合的に検討を続けていくべき課題」として事実上、棚上げのままにされた排出権取引の扱いでも異論が相次いだ。排出権取引は、各企業ごとに温室効果ガスを排出できる枠を割り当て、超える企業は、下回る企業から「排出権」を購入する。

 早稲田大法学学術院の大塚直教授は「確実に排出削減でき、がんばった企業が排出権の売却で利益を上げられる」と早期導入を訴えた。東京大先端科学技術研究センターの山口光恒・客員教授は「公平に排出量を割り振ることは不可能。産業界の『自主行動計画』が合理的だ」と訴える。

 日本が足踏みを続ける中、海外では各国で排出権取引の導入が進む。

 欧州では05年1月に排出権取引を開始。米国では03年からシカゴ気候取引所で取引制度が始まり、連邦議会内にも導入を目指す動きがある。豪州でも12年までに開始する予定だ。

 政府内でも検討を急ぐべきだとの意見もある。一方、日本経団連は「排出権取引は温暖化対策に不熱心だった地域で有効な制度。日本は自主的に省エネなどに取り組んでおり『世界に乗り遅れるから』という理由で導入を検討するのは本末転倒だ」と反論している。【江口一、山田大輔】

by deracine69 | 2007-08-10 21:35 | 行政・公務員  

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