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<バングラデシュ>サイクロン死者3000人超す

11月18日20時30分配信 毎日新聞

 【ニューデリー栗田慎一】15日夜から16日にかけてバングラデシュ南部を直撃した超大型サイクロン「シドル」の被害について、同国地元テレビは18日、死者は少なくとも3000人に上ると伝えた。犠牲者の大半は高波にのまれたり、暴風雨で家屋が倒壊して下敷きになったとみられる。当局は、91年4月に14万人の死者を出したサイクロンに匹敵する災害規模となる可能性を示唆しており、死者はさらに増える見込みだ。

 現地からの報道によると、同国赤新月社(赤十字社)のロブ総裁は同日、死者が1万人に上る恐れがあると語った。

 被害が集中しているのは首都ダッカの南南西に位置するバルグナやドゥブラル島で、いずれもガンジス川の河口付近。防波堤も築かれておらず、高波の直撃を受けた。被災者の一人はAFP通信に「高さ6メートルの波が低地を襲った」と語った。

 サイクロンは同国全土を飲み込む大きさだったといい、被害の確認は全国各地で続けられている。

 バルグナで被災者の救助や医療活動を続けている赤十字国際委員会(ICRC)は、「約90万家族が家屋倒壊などの影響を受けたとみられる」としている。地元メディアは「高波の去った大地には何もない」とその威力を表現した。

 現地からの報道によると、被災地には遺体が放置され、衛生環境の悪化が懸念されている。また被災地へ向かう道路も寸断されており、同国軍がヘリコプターや艦船を使って食糧や水、医薬品などをピストン輸送。国連世界食糧計画(WFP)もこれまでに40万人分の非常用ビスケットを配布したが、圧倒的に不足した状態だという。

 ◇シェルターが命綱 150万人避難

 日本の約4割の面積の国土に約1億4000万人が密集して暮らすバングラデシュ。国土の大半が低地のデルタ地帯で、過去にも度々サイクロンの直撃で多数の死者を出してきた。70年には約30万人、91年4月には約14万人が死亡。今回、過去の悪夢を教訓に整備が進んだ防災シェルターが、一部の住民の命を救った可能性がある。

 シェルターはサイクロンによる洪水や高潮、高波の際、地域住民が避難するためのもので、鉄筋コンクリート2~3階建て。91年の災害の教訓を生かす形で沿岸部を中心に、同国政府のほか、日本など外国政府や赤十字などの支援で建設が進められ、現在では2000棟以上に上る。

 AP通信は政府当局者の話として、今回約150万人の住民がシェルターに避難したと伝えた。現地で活動する日本のNGO「ジュマネット」の下沢嶽(たかし)代表は「シェルターの数は十分ではないが、今回はある程度役立ったと思う」と話している。【矢野純一】

by deracine69 | 2007-11-18 20:30 | 政治  

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