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健康蝕む日本中古家電 異臭漂う比マニラ投棄場

FujiSankei Business i. 2008/3/31

 次々と運び込まれる中古テレビやパソコン、プラスチックや導線が燃え異臭が漂う。日本から「再使用品」名目で有害廃棄物の流入が明らかになったフィリピンの海の玄関口、マニラ港近くにあるゴミ投棄場「セーバー」に隣接する空き地では、子供らが金属を取り出して生計を立てている。日本から輸出された中古家電が、貧しい人々の健康をむしばむ。

 「導線を燃やすと目まいがして鼻が痛くなる。でもお金が必要だから仕方がないんだ」。弟と2人でやってきたロリー・セサイグ君(13)。

 テレビやパソコンは修理して販売する再使用目的での輸出は合法だが、人体に害がある鉛やカドミウム、水銀などが含まれているため、解体目的での輸出は有害廃棄物の移動を規制するバーゼル条約違反となる。

 しかし、複数の地元業者によると、マニラ港に到着するテレビなどの半数は実際には「再使用不可」の状態。国際協力機構(JICA)が2002年にまとめた報告によると、フィリピンには「有害廃棄物を適切に処理できる施設や技術はなく、安全に投棄できる場所もない」。この状況は現在もほとんど変わっていない。

 ジェロニモ・カシラさん(59)は地面でパソコンの回路基板を燃やし銅製の部品を拾っていた。1キロで110ペソ(約260円)になる。導線や基板を燃やすのは体に害があると知っている。「燃やすときにマスクをした方がいいんだろうけど、そんな金があったら食べ物を買うね」。別の男性は「友人がブラウン管を壊したら爆発し失明した」と明かした。

 マニラ最大のごみ投棄場「パヤタス」。「日本製の中古テレビを満載したトラックが昨年12月まで頻繁に来ていたよ」。管理委員会関係者が話す。テレビは有価物を収集する人々がその場で解体し外部の業者に売っている。ごみの中から手袋を見つけられない場合、作業はすべて素手だ。

 パヤタスでは昨年12月、テレビの投棄が規制された。だが、部品を業者に売っている男性は「今でもテレビの部品は私1人でも1日100キロぐらい集められる」と話した。

 フィリピンでは多くの処理業者が日本との経済連携協定(EPA)による収入増を見込んでいる。業者の間では「不法投棄の廃棄物も増えるだろう」との指摘が多く、日本に対し処理施設の整備を求める声も強まりそうだ。(マニラ 共同)

by deracine69 | 2008-03-31 23:59 | アジア・大洋州  

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