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客の食べ残し 使い回し 船場吉兆 休業前6―7年間、前社長指示

2008年5月3日 東京新聞

 食品偽装表示問題で経営が行き詰まり、民事再生手続き中の高級料亭船場吉兆(大阪市)が、休業前の昨年十一月ごろまで、同市中央区の本店で客が食べ残した料理を別の客に提供していたことが二日、分かった。

 当時の湯木正徳社長(74)=引責辞任=が「もったいない」と指示し、六-七年前から続いていたという。一連の問題で表面化した旧経営陣の利益優先体質があらためて浮き彫りになった形で、高級料亭としてのモラルが問われそうだ。

 大阪市保健所によると、こうした食品の使い回しは食材の品質が保たれ、食べても健康を損なう恐れがなければ食品衛生法に抵触しないという。

 同保健所は「飲食店として道義的な問題はある」として二日、同社に立ち入り調査し、今後は繰り返さないよう行政指導した。

 同社や保健所によると、本店ではアユの塩焼きや若菜などの刺し身のつま、ゴボウをウナギで包んだ「八幡巻き」など、客がはしをつけなかった料理を回収。焼いたり揚げたりして再調理するなどした上で、別の客に出していた。

 湯木前社長は調理場で従業員に「使えるものは何でも使う」と指示していた。

 取締役の山中啓司料理長(47)は二日夜、本店前で取材に応じ、謝罪した上で「問題だと思ったが従うしかなかった。(今年一月の)営業再開後は調理の記録をすべて残しており、このような使い回しは一切ない」と繰り返した。

偽装発覚後もひた隠し

 偽装表示問題で傷ついた高級料亭の看板にまた大きなひびが入った。二日、客が食べ残した料理の使い回しが発覚した船場吉兆。料理長は「恥ずかしくて表に出せなかった」と明かした。専門家は「大阪の商道徳も落ちたものだ」とあきれた。

 営業中の午後七時ごろ、本店玄関前に姿を見せた山中啓司料理長は報道陣に「お客さまや世間に不快な思いをさせ誠に申し訳ありません」と深々と頭を下げた。

 山中料理長によると、使い回しは六、七年前に始まった。当時の湯木正徳社長が「きれいなものはもったいない。再利用できる」と料理人に指示。客が手を付けず、見た目も良い食べ残しを温め直し、別の客に出した。使い回しは二、三週間に一度程度で、その日のうちに再利用し、翌日の料理に回すことはなかったという。

 山中料理長は、問題だとは思ったが「社員(当時)の立場では指示に従うしかない」と加担したと説明した。

 一連の偽装発覚後、農林水産省への改善報告書や何度も開いた記者会見でも、使い回しの事実は隠した。山中料理長は「やってはいけないことなので恥ずかしく、出せなかった」とうなだれた。

 一人数万円もする高級料亭の“背信行為”に専門家も手厳しい。食品の安全について調査している特定非営利活動法人「食品と暮らしの安全基金」の小若順一代表は「使い回しが業界内であるのではないかとうわさは耳にしていた。高級料亭の船場吉兆もこれでおしまいだ」と切り捨てた。

 「道徳として最もひどい。大阪の食文化にとっても大打撃や」と嘆くのは、大阪文化に詳しい大谷晃一帝塚山学院大名誉教授。「営業再開後は使い回しをしていないと言われても、とても信じられない」

by deracine69 | 2008-05-03 08:00 | 社会  

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