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船場吉兆使い回し「信じがたい」…熊倉・民博名誉教授

2008年5月3日 読売新聞

 料亭・船場吉兆(大阪市)で2日、またも利用客への背信行為が明らかになった。『日本料理の歴史』などの著書があり、創業者の湯木貞一氏(故人)の時代から吉兆グループの店を訪れている国立民族学博物館名誉教授(日本文化史)の熊倉功夫さん(65)=写真=は、一流料亭の度重なる不祥事を嘆き、モラルの大切さを訴えた。

 信じがたい話だ。かつての一流料亭は、舌が肥え、器や盛りつけにまで意見を言うような客たちとの間に、緊張感と信頼関係があった。湯木さんとは一緒に食事をしたこともあるが、厳しい客たちにも応えようと、努力して立派な店を築いた厳格な人だった。料理人が作ったものに納得がいかず、調理場にそっと戻す姿を見たこともある。

 看板が引き継がれ、なぜ、こういうことになったのか。今の時代は食全盛のようにもみられるが、有名料亭というだけでありがたがられ、客との緊張感がなくなってきている。それも背景にあるのではないか。

 吉兆グループの他店や大阪の料理人たちは一生懸命やっているだけに残念でならない。関西の食文化にとってもマイナスイメージとなったが、今回のことは個々のモラルの問題だ。高い志を持った料理人たちが、優れた仕事をしてくれることを期待している。(談)

 ■「社員という立場、従うしかなかった」■

 船場吉兆の山中啓司料理長は2日、本店に詰めかけた報道陣に何度も頭を下げ、使い回しについて「調理場ではほとんど全員が知っていた」と告白。「(湯木正徳・前社長の)“もったいない精神”から出た指示だったと思う」と述べ、「社員という立場上、従うしかなかった」と釈明した。

 昨年12月、農林水産省に提出された改善報告書に今回の件が盛り込まれなかった点には「やってはいけない行為をしていたという意識があり、言い出せなかった」と話すのがやっと。前社長の妻で、女将(おかみ)の佐知子社長は最後まで姿を見せなかった。

 2日夜、本店を訪れた客は予約の1組のみ。午後8時半ごろ、客を送り出すと、早々と入り口の鉄扉を閉め、営業を終えた。

by deracine69 | 2008-05-03 08:00 | 社会  

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