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ネパール初、ゲイの国会議員誕生

2008/05/22 22:48 ゲイジャパンニュース

先月10日に行われたネパール制憲議会選挙(定数601)で、人権活動家でゲイのスニル・パント氏(35)が当選した。LGBTであることを公にしたネパール初の国会議員誕生が誕生した。

制憲議会選挙は先月27日までにすべての開票を終え、共産党毛沢東派が220議席を獲得して第一党になった。次いでネパール会議派が110議席、統一共産党が103議席を獲得。パント氏はネパール共産党統一(CPN-United)から立候補・当選した。

同氏は、ネパールのLGBTI権利団体ブルー・ダイヤモンド・ソサエティの設立者で代表。制憲議会選挙にはパント氏の他、10人を超えるLGBT候補が出馬したが、いずれも落選した。

CPN-Unitedのガネーシュ・シャー党首は、「パント氏を私たちの代表として制憲議会に送れることを光栄に思う」と述べ、「ネパールでもっとも抑圧され、社会からも家族からもつながりを絶たれた人たちの生活が向上されることを願っている」とパント氏の活躍に期待を寄せた。

ネパールでは、LGBT市民が恣意的拘束や、公権力による暴行や拷問の対象となっている。2006年には、26人のトランスセクシュアルらが逮捕され、外部との連絡を禁止された状態で、カトマンズの警察署に数週間拘束された。

ネパール軍は昨年8月、性的指向を理由に女性隊員2人を除隊処分にした。BDSによると、HIV予防啓発活動関係者も、警察によるいやがらせを定期的に受けているという。(関連記事)

パント氏は昨春、インターナショナル・ゲイ・アンド・レズビアン・ヒューマン・ライツ・コミッション(IGLHRC)のフェリパ・ジ・ソウザ賞を受賞。フェリパ賞は、毎年、セクシュアリティやHIV感染の有無により、社会的烙印を押されたLGBTやその他の人びとの人権状況を改善するために、草の根での活動を行った団体や個人に贈られている。(関連記事)

昨年12月、ネパール最高裁は「レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスセクシュアル、インターセックスの人びとも、ジェンダーの観点からすれば男らしく又は女らしくはないものの『自然人』である」とした上で、「自然法及び国際人権法や条約に定義されるあらゆる権利を享受することを認められるべき」との見解を示した。政府に対し、LGBTやインターセックスの市民が「自主的な生活を営める」よう権利を保障する法整備を命じた。今年2月にも、同性愛者の人権を支持する判決を下しているが、政府はこれら判決を無視する状態が続いている。(関連記事) ブルー・ダイヤモンド・ソサエティはLGBTI権利擁護の他、HIV/エイズとともに生きる人のためのホスピスを運営してきた。しかし今年3月、周囲の偏見を理由に大家に立ち退きを迫られ、閉鎖に追い込まれた。

制憲選挙ではパント氏の他、ダリット(カースト制度における最下層の「不可触民」とされる人たち)や少数民族、女性など、ネパール社会で抑圧されている人びとを支持する候補者も当選した。(翻訳・編集 山下梓)

by deracine69 | 2008-05-22 22:48 | アジア・大洋州  

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