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コメ高騰 日本の輸出は 国際競争力なお弱く無理

2008年6月2日 07時01分 中日新聞

 小麦や大豆、トウモロコシに加え、コメの国際価格が上昇し、東南アジアや西アフリカなどで抗議デモが起きている。一方、コメ余りの日本は今年も減反で必死だ。海外のコメ不足に日本産米で貢献できないのだろうか。

 コメの国際価格の高騰が顕著になったのは今年の三月ごろから。昨年までは一トン三百ドル程度だったタイ米の価格が急激に上昇。五月には初めて千ドルを突破し、依然として高値が続いている。

 高騰の原因は、コメ輸出国のベトナムやインド、中国などが穀物価格の高騰に危機感を抱き、自国の消費安定を優先。昨年末から次々にコメの輸出禁止や輸出規制に動き、規制を行っていないタイに輸入国が殺到したためだ。コメ不足と価格高騰からフィリピンや西アフリカのセネガルなどでは抗議行動が行われ、各政府は沈静化に追われた。

 こうした世界の状況に対して、減反しなければならないほどコメが余り、埼玉県の面積を上回る約三十八万ヘクタールの耕作放棄地を抱える日本はコメ輸出で貢献することはできないのだろうか。答えは「ノー」といわざるを得ない。

 コメの国際価格が上がっているとはいっても、日本のコメは国際価格の二-三倍。このコストの差では、政府の援助がなければ経営が成り立たない。商業ベースとしては、昨年から中国に対して行っているように、アジアの「富裕層」を対象に輸出を行うのが精いっぱいだ。

 実際、昨年は減反目標が達成できず、コメ余りが発生。前年比で価格が一割程度下落しただけで、農家は深刻な経営難に陥った。政府が備蓄米として三十四万トンを買い入れるなどの緊急対策でコメ価格を下支えし、ようやくひと息ついた状態なのだ。

 こうした世界のコメ価格と大きな差を生み出したのは、長年にわたって日本の伝統的な米作りを保護することを重視し、国がコメ価格に関与してきた結果だ。現在、農地の大規模化などの改革を進めてはいるが、もっと早く内外価格差を縮める改革を行っていれば、海外産との競争力も生まれたのではないかという思いは残る。

 結局、日本からはミニマムアクセス(最低輸入量)米を使った二十万トンのフィリピンへの緊急支援が検討されている。また、中・長期的には途上国への農業技術支援も、自国での食料生産を増やす助けになるだろう。

 さらに世界最大の食料輸入国の日本にできる貢献は、飼料米や米粉の利用などでコメ需要を増やし、現在39%の食料自給率を高めることかもしれない。そうすれば穀物の輸入量が減り、今後も逼迫(ひっぱく)が続くと予想される穀物全体の需給緩和に役立つことができるだろう。(経済部・荒間 一弘)(東京新聞)

by deracine69 | 2008-06-02 07:01 | 行政・公務員  

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