コンベヤー折れ曲がる 自然鎮火待つだけ 徹底調査で原因究明を 新日鉄八幡火災ルポ
2008年7月31日 01:15 西日本新聞石炭の甘酸っぱいにおいが漂うコークス炉。30日午前、約200メートル手前まで近づいた。周囲に炎はもうない。しかし、地上25メートルの高さにあるベルトコンベヤーが途中でぽっきり折れ、逆L字形に曲がっていた。
手前には消防車。仮設のテントでは市消防局職員が数人、所在なさそうに座っている。消火活動ができず、見守るしかないのだ。
戸畑区の新日本製鉄八幡製鉄所で29日発生したコークス炉の火災は、けが人こそなかったものの、30日夕になっても鎮火せず、2日目の夜を迎えた。
コークス炉は、コンベヤーで運んだ原料炭を蒸し焼きにし、コークスとガスを取り出す。コークスは高炉に投入し、ガスは燃料として配管を通じて高炉や製鋼工場に送っている。
火災の詳しい原因は不明だが、コンベヤーが出火して落下し、約10メートル下を走っていたガス管を破断したのが発端とみられる。管内のガスに引火して、あちこちから炎が噴き上がった。
29日午前、火災現場に近づいたときは、オレンジ色の炎から真っ黒な煙がもうもうと立ち上っていた。ガス管の煙突や、ところどころに設けられた弁など10カ所以上で、煙は風に乗って青空に広がっていた。
その日の午後には炎の勢いは衰え、黒煙も少なくなった。ガスを燃やし尽くすことで、自然に鎮火させる作戦。それにしても時間がかかる。
コークスで生成したガスは水素やメタン、一酸化炭素などからなる。燃えると二酸化炭素や水になるが、すすも発生する。コークス炉から最も近い民家は南側に2キロ以上離れ、周辺への直接被害はなかった。西風で黒煙が関門海峡側に流れたからだ。これが北風だったら…。
ベルトコンベヤー付近が出火原因とみられる火災は、これが4度目で、地域住民の不安はいや応なしに募る。
29日に緊急会見した藤井康雄・八幡製鉄所長は「災害ゼロ」と書かれたゼッケンを着用していた。「地域の方々にご迷惑をかけ、誠に申し訳ない」。その言葉通り、二度と火災を起こさないよう、今後の調査で徹底した原因究明が必要だ。 (根井輝雄)
by deracine69 | 2008-07-31 01:15 | 経済・企業