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五輪後の中国:高成長続く、「肉食」増えれば穀物需要さらに増加

7月31日13時33分配信 ロイター

 [東京 31日 ロイター] 丸紅経済研究所副所長の美甘(みかも)哲秀氏は、北京五輪後も中国経済の高成長は続き、穀物や原油の価格上昇が続く可能性が大きいと述べる。さらに豊かな層が増え、肉食を好むようになれば穀物需要はさらに急増すると指摘する。

 新興国需要は拡大を続け原油価格は1バレル=100ドルを下回ることはないとの見方を示した。

 ロイターとのインタビューで30日に述べた。

 ──北京五輪の経済的インパクトは。

 「中国経済に北京市が占める比率は、4%程度と小さく反動もないだろう。それよりも世界経済減速の影響の方が大きい。現在、中国は12%程度の成長をしているが先進国の成長率が昨年までの5%から2─3%に減速すれば、10%程度に落ちる可能性がある。10%成長というのは中国にとって重要で、公式な成長率目標は8%だが本音は10%程度の成長を望んでいる。10%以下になれば毎年必要な1000万人の雇用を生み出せなくなるためだ」

 「しかし、金融を緩和させて雇用を増やすわけにもいかない。インフレという大きな問題があるからだ。ジレンマに陥っているが、中国政府としてはある程度インフレを容認しながら投資を増やす道を選ぶとみている。沿海部と内陸部での経済格差を解消する必要があるほか、現時点でインフレは食料品にとどまっており、工業製品などの物価はそれほど上昇していないためだ」

 ──経済成長が続くとすれば世界的なインフレの要因も消えないということか。

 「2000年を境に先進国の需要が増えなくなった。2002年から07年の間に需要が100増えたとするとOECD加盟(経済協力開発機構)諸国が1割、残りはエマージング諸国の需要増加だ。その9割のうち3分の1を中国の需要が占める」

 「肉1キロを生産するのに必要なトウモロコシは牛肉なら10キロ、豚肉で6─7キロ、鶏肉で4キロだ。さらに小麦やトウモロコシなど飼料1キロを作るには水が2トン、牛肉を1キロをつくるためには水15─16トンが必要になる。新興国諸国の人が豊かになり肉食を好むようになれば、穀物需要はさらに急増する。バイオエタノールなど穀物を原料としたエネルギー需要との関係もある。中国など新興国の経済成長とともに穀物や水の争奪戦が強まる可能性が大きい」

 ──原油価格については下落トレンドに入ったとの見方も出ている。

 「原油価格は第2次オイルショック時の1980年に38ドル(1バレル当たり)を記録、世界同時不況をもたらした。その後1985年までに20ドルに低下。2003年までの約18年間、20ドル台が続いた。『貧者からの贈り物』と言われ、先進国は安い原油をおう歌したが、2000年以降、OECD加盟国以外の経済成長が高まったこともあり、徐々に原油価格は上昇に転じていった」

 「1980年の38ドルが世界の平均的なインフレ率で上昇していったと仮定すると、現在は95─100ドル程度になる。新興国の経済成長は長期的にみれば続くとみられるため、100ドル以下になることはないとみている」

 「OPEC(石油輸出国機構)の供給余力が低下している。かつては600万バレル程度あったが、現在は200万から300万バレル程度だ。マーケット参加者はこのことが頭の中にインプットされており、ちょっとした地政学的リスクでもすぐに反応する。1980年代はどこかの国の核開発が明らかになるといった大事件でも50セント上昇する程度だったが、今では瞬時に極めて大きく反応する。こうした要因も原油価格を押し上げている」

 「エマージング諸国はエネルギー効率が悪い。中国は日本の7─8倍悪い。需要
の伸び率が高い上に、エネルギー効率も悪いため二重にエネルギー需要が高くなっている」

by deracine69 | 2008-07-31 13:33 | アジア・大洋州  

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